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ブックマークに溜まった怖い話を集約
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失った物と得た物
696 ぼっきぃ、でっけぇ sage New! 2006/10/30(月) 00:30:51 ID:Ge+x/JfH0
高校三年の時。
あまり大きな声じゃいえないが

俺は童貞だったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!



それで、なんとか高校卒業までに一発やりたいな、なんて、チンポがついてない哺乳類が
聞いたら怒り狂いそうな思想を抱いていた。まぁ、ほとんど適わぬ願いだったんだが。
ある日、俺はいつもの憎たらしい表情を、少しだけ矯正することになった。
余所行きの顔といったらいいのかな、勝負顔といったらいいのか。
なぜそうしなければいけなかったかというと、
隣の席の今井田 緑さんが髪を切ってきたからなんだ。

この今井田緑って女は、俺の在籍していたクラス中ワーストから数えたほうが早いくらいの
人気のない女だった。髪はボサボサの竹林みたいな感じで、
姿勢は常に猫背。猫背とおおい髪の毛のせいで顔の上半分はいつも見えなかった。
そんな幽霊みたいな見た目だったんだが、見た目に反して中身は怨霊みたいに暗かった。
休みがつく全ての時間帯を読書に費やしているし、一ヶ月も隣同士なのに
一言も会話がない。こちらから話しかければ首を縦にふるか横にふるかで
全ての意志を表示してくる。

そんなふざけた今井田が、ふざけた髪型を変えていたんだ。
俺はお母さんにバリカンで刈り込んでもらってたから、美容室についての人間の英知を知らない。
しかし、そんな俺がみても今井田の短くなった髪型は、ハサミを持って数年以上汗を流した人間の業だった。
俺は初めて今井田の目を見た。前は前髪が多すぎて見えなかったからだ。
今井田の目は、意外にも大きかった。長いまつげとくっきりとした二重が
今井田の美人を証明していた。俺は、今井田によく見られたいがために、
自分が最もかっこいいだろうと思う、表情、しぐさ、台詞を取捨選択しながら過ごした。
そのせいでギクシャク不自然極まりなかったが、これだけは取捨てできなかった。

今井田が豹変して一週間がたった頃、俺は今井田の家にいくことになっていた。


699 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/10/30(月) 00:52:08 ID:Ge+x/JfH0
なぜ今井田の家にいくことになったのか。その理由は簡単だ。
それは、俺は男で今井田は女だったってことだ。

今井田は中々俺に心を開かなかった。そりゃ当然だ。本人は髪型を変えても
今まで通り孤独に人生をまっとうしようとしてたんだから。
しかし、今井田の本当の姿がそれを許さなかった。俺は無理やり今井田の心の中に入っていった。
あわよくば物理的にも中に入っていきたかった。
今井田はしつこい俺に少しずつだが玄関のドアを開き始めていた。
もう少しで完全に開ききろうとしていた今井田の心。

だが、あせる俺にはドアの開く速度がイライラを生んだ。
まともに会話できるようになるまで何ヶ月かかるんだ。糞野郎!脱糞野郎!肥溜め野郎!
いかんいかん。俺は今井田が好きなんだった。汚い言葉は胸に秘め、
今井田の心を強制的に開くためにある作戦を考えた。
それは、今井田の家にいって距離を急激に縮めようというものだった。
男女間の心理戦をいくつか飛ばしてしまおうというわけだ。

今井田の家は母子家庭だった。今井田の母ちゃんは働き盛りのおっかさんで
たくわんが大好物だそうで、それが災いして帰宅が深夜すぎになるらしい。
俺は今井田をいいくるめて、今井田の家の中に入る事に成功した。
いいくるめるまでには、なかなか時間を浪費したんだが、
今井田の趣味である読書に興味があるといったらば、本を貸してくれるというので
本を借りると言う名目で侵入に成功した。

今井田の家は母子家庭の家族が住む専用の団地だった。
それ故に狭く、古く、住み心地は今ひとつのようだったが、
冷蔵庫にはってあるたくわんが大好きな今井田の母ちゃんの
「冷蔵庫にプリンがあるから食べて。今日も遅くなるけどゴメンね」の書置きに
今井田親子のあたたかさを感じ、この家、そんなに悪くないなと思った。

今井田の部屋に入った俺は、今井田親子の温まるエピソードそっちのけで、今井田を生まれたままの姿にしはじめた。

700 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/10/30(月) 01:15:44 ID:Ge+x/JfH0
激しかった。俺は喧嘩なんかしたことがなかったから、人とつかみ合いで
争った事はない。だから、もしかしたらこれがバージンつかみ合いだったのかもしれない。
今井田は部屋に入った途端後ろから抱きつく俺を引き剥がそうとした。
今井田がもがけばもがくほど俺の腕に力がみなぎる。もう誰もとめられないのだ。俺自身ですら。
今井田を押し倒し、制服をまくりあげ、ブラジャーを拝む。強引に制服を引っ張ったからか、
ブラジャーから乳りんがかすかにはみ出していた。

乳りんがはみ出したように、硬く閉ざされていた扉の向こうから、今井田の本心もはみ出してきた。
「ねぇ・・・やくそく・・・・やくそく・・・・」
俺が今井田の服を脱がし続けている間に、今井田がボソボソとつぶやく。
「ぬぅわにをぉ?」
いちお聞いてみる
「なにがあっても、一緒にいて?」
俺は東京タワーを建築する術を知らない。しかし、俺の体はどうやら建築方法を原始的に会得していたらしく、
俺の下半身では東京タワーが経済成長期の象徴として君臨しはじめていた。
俺の人生もこれを期に経済成長するに違いない。俺は変わる。

その日、俺は今井田と一つになった。
自分の体外に、大切にしなきゃいけないものができた日だった。
俺は一生、ミドリを守る事を誓った。ごめん、調子にのって呼び捨てしちゃった。

次の日、俺は人生を悟ったような顔つきで登校していた。
昨日まで目線も合わせられなかったイケメン兄ちゃんやヤンキーにガンを飛ばそうと思ったほどだ。
しかし飛ばす理由も見つからないので、飛ばすのをまた今度にすることにした。
今まで自信がないせいか、地面ばかり見ていて歩いていた。
だからだろうか、正面をまっすぐ見据えて登校していると、不思議な光景が目に映る。
例えば、視界の右端には顔面水ぶくれでズブ濡れの女が立っている。

左を見れば、首が見当たらない6歳くらいの男の子が三輪車にのっている。
よくみれば首は背骨だけでつながっており、三輪車の後ろから転がって男の子についていっている。
俺が自信を失っている間に、世の中のみなさんは自己犠牲の精神が達者になっていたようだった。


701 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/10/30(月) 01:33:02 ID:Ge+x/JfH0
学校につくまでの間、あきらかに死んでいないといけない人たちを数人見かけた。
さすがに話しかけることはできなかったが、俺の興味は彼らに向きっぱなしだった。

あたりをキョロキョロ見渡しながら学校の門をくぐろうとしたとき
ガシ!!!!!
何かが俺の肩をつかんだ。

振り返ると、そこには今井田が立っていて、なぜか申し訳なさそうな顔をしている。
普通なら、昨晩一つになった男と女だ、会ったと同時に手を繋ぎ女は男の肩に頭をのせて
感慨にふけるのが通例だろう。だが今井田は、申し訳なさそうなのだ。
「どうした?」
「ごめん」

何をあやまられたのかわからなかった。
「なにが?」
「見えてるんでしょ?」

今井田はそういうと、近場にいる死んでいなきゃいけない容姿の人間を見た。
俺達と同じくらいの学生で、長く黒い髪が似合う女の子が
左足と右腕を欠損した状態で這いつくばってうごめいている。
「なんだ、今井田も見えてるんだ」
「なんでだかわかる?」
今井田の声は無理に明るくしているようだったが、顔は泣き顔だった。
「童貞卒業したから?」
「馬鹿じゃないの!」

今井田は初めて俺を叩いた。ペシペシと叩くのだが、女の子叩きが愛くるしい。
俺はてっきり、童貞を卒業したら、人間ってのは幽霊が見えるようになるのだなと思っていた。
しかし今井田の説明によると、今井田の家系は代々霊感の強い家系で
今井田家の人間と性的関係を結んだ人間には、霊を視認できる能力が備わるそうなのだ。
軽い性病みたいなもんかと冗談交じりに霊感を手に入れた感想を述べると、
今井田は安心したようだった。俺が霊感を手に入れた事で今井田に恨みをもつことをしなかったからだ。


703 ぼっきぃ、でっけぇ sage New! 2006/10/30(月) 02:04:32 ID:Ge+x/JfH0
それから俺達二人は、まわりの人間に力を悟られないように生活した。
今井田は生まれたときから力をもっていたようなので、全くもって平静だったんだが
俺はそうもいかなかった。昔から幽霊なんか全然怖くなかった。
幼稚園の時、バタリアンをみながら眠りについていたほどだ。死霊のしたたりも心地よい睡眠を誘ってくれた。
しかしそんな俺でも鬱病や自律神経失調症、下痢、便秘、水虫、脱糞などを同時併発してしまった。
それほどリアルの幽霊達はシャレにならなかった。

ある日自室でオナニーをしていて、ふと横を見ると第二次世界大戦中に戦死した兵隊達が俺を傍観しているのだ。
約60人ほどの大隊を組んで俺を見るものだから、恥ずかしくなって行為を中断せざるをえなくなる。

歴史の勉強をしていて、年号を必死でおぼえていると、背後にいたかっぷくのいい女子大生が
「1987年 10月23日 学校の教室にて西田洋平に弁当箱にゴキブリを入れられる。
 1987年 11月2日  体育の授業中、中島由紀にブルマを隠される。
 1987年 11月5日  放課後、数学の横島先生から殴る蹴るの暴行をうける
 1987年 12月13日 下校途中、数人のクラスメートから凍った池の上を歩かされ、池に落ちて凍傷になる。」

などと、自分の不幸の記録をつぶやき続ける。おかげで俺が覚えた年号は彼女の不幸の記録だけだった。
ちなみにテストには全く出題されなかった。

別のクラスの友人と会話しているとき、その友人にとりついていた自縛霊が、友人を陥れるために
友人の人には言えない内緒話を惜しげもなく話してくれた。
俺に被害が及ぶような性癖をもっていた友人に、二度と話しかけることはなかった。

俺は幽霊が見えるようになったおかげで、まともな生活が送れなくなっていた。
今井田はそんな俺を励ましてくれていた。だが、そんな励ましじゃ足りないほどのストレスが俺を襲う。
このままでは、俺も幽霊の仲間入りをしてしまうんじゃないだろうか。そう思い始めていたとき、
俺はあることに気づいた。そうだ、幽霊を殺そう。周りにいる幽霊を退治すればいいじゃないか!
幽霊を退治してまわれば、商売になるよな・・・この就職難のさなか、俺は究極の資格を手に入れたんじゃないか!?

そんなこんなで、幽霊退治サービスはじめました。 END


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